中年にとって介護の問題は、親の問題でもあり自分自身の問題でもあります。特養養護老人ホームの医師である作者から見た介護についての本を読みました。

 「平穏死」のすすめ 口から食べられなくなったらどうしますか

この本の主題は「体が弱った老人に栄養を与え続けて生かすことは良いことなのか」ということに関してです。

体が弱って自分で食事ができなくなると、胃瘻(胃にチューブを通して栄養を与え続ける医療器具)というものを付けて栄養をとることになるそうです。この時点で自分にちゃんとした判断能力があれば、胃瘻を付けるか付けないかの選択ができますが、多くの場合は認知症を併発しており、自分で判断することができなくなっているそうです。その状態になった時にどうしたらいいのか、とても考えさせられます。

中年になると自分の親の介護が現実問題になります。自分で食事ができなくなった時、自分の親は何を望んでいるか事前に聞いておく必要がありそうです。認知症になった後では、もう遅いですから・・・。

この本には老人ホームと病院との関係に関して詳しく書かれていますが、病院で死ぬことを選ぶか老人ホームで死ぬことを選ぶかも重要な要素です。その判断が胃瘻を付けるか付けないかに関係するからです。

筆者である石飛幸三氏は現在、特養養護老人ホームの医師ですが、元は外科医でした。かつては治すことに命を賭けていた人が、今は看取る仕事をしています。本の中ではその理由も説明されています。何人もの死を見てきた医者の発言は深いです。筆者は「核家族である現代では、多くの人が最後には老人ホームにお世話になることになる」とも話しています。親の介護も心配ですが、自分自身の老後はどうすべきかも同時に考えさせられました