冠動脈CT(心臓CT)検査は、心臓の血管(冠動脈)の状態を調べるための検査です。冠動脈の狭窄やプラークの有無を判断することが出来ます。従来はカテーテルという管を使って検査をしていましたが、最近はCTスキャンを使って高速に精度良く検査ができるようになりました。

料金

この検査は医師の診断があれば保険が効きます。検査料は3割負担で約1万円ほどです。

注意点

検査前は3~4時間ほど絶食する必要があります。加えて、

  • 喘息を持っていないこと
  • 造影剤アレルギーがないこと
  • 緑内障を患っていないこと
  • 撮影時10秒以上息止めが止めることができること

などの制限があります。気になる場合は検査前に確認してください。

私も年に1度ぐらい喘息にかかる場合があるので検査前に相談しておきましたが、特に問題なく検査できました。

造影剤

撮影時に血管をより見やすくするために造影剤を使います。

造影剤でアレルギー症状を起こす人がたまにいる(100人で3人程度。約3%)ため、造影剤アレルギーという項目が注意点で挙げられています。(造影剤を注入する前に、内容を承諾した、という内容の同意書に署名する必要あり)

造影剤は数日間にわたって副作用(吐き気、じんましん、食欲不振など)を起こす場合があるため、検査が終わった後も自分の体調を注意深く観察しておく必要があります。

体験談

私が検査した病院での体験記です。実際の検査で行ったことを時間順に並べてみます。

  1. 身長と体重の測定
  2. 心電図の測定
  3. 看護師によるカウンセリング
  4. 医師による事前診察
  5. 採血、血圧と脈拍数の測定
  6. 30分から1時間待機
  7. 冠動脈CT(心臓CT)検査
  8. 検査画像判断待ち約30分
  9. 医師から結果の説明

ここまでで、約2時間かかりました。各項目を細かく説明していきます。

1.身長と体重の測定

身長と体重を測定する理由は、後に使用する造影剤の量に関係するからではないか、と思いました。測定後、上半身だけ検査着に着替えます。(ベルトも外す)

2.心電図の測定

ごく一般的な心電図の測定です。この後で必要になる脈拍も測定しているようです。

3.看護師によるカウンセリング

検査の目的、病歴(自分、親)、注意点などを看護師さんが確認します。この時点で問題点があると、検査ができないかもしれません。歯に貴金属が入っているかどうかも聞かれました。

4.医師による事前診察

検査に問題が無いかどうかを医師と面談して確認します。医師は、先ほど検査した心電図を確認していました。心電図も判断材料にしているようです。また造影剤の同意書の件もここで説明されます。

5.採血、血圧と脈拍数の測定

採血をして、血圧を確認すると同時に、脈拍数も確認します。脈拍数はとても重要な数値で、脈拍が早すぎると検査が正確にできないからだそうです。ただ脈拍は高すぎても低すぎても良くないそうで、脈拍が70を超えている場合、脈拍を下げる薬(β遮断薬)という錠剤を飲む必要がありますが、低くなりすぎないように慎重な調整が必要とのことです。私も脈拍が高かったので、脈拍降下剤(セロケン錠)を飲むことになりました。

この後、針とチューブを腕にテープで貼り付けます。初めは点滴をするのに使い、その後は造影剤を注入するために使います。検査が終了まで、ずっと付けたままの状態で過ごします。

6.30分から1時間待機

脈拍数が高くなかった人はもっと短いと思いますが、点滴が心臓に届くまで30分程度、待機します。私の場合は血圧も下げる必要があるため、1時間弱、待機していました。脈拍数が下がるように、ひたすら安静にして待ちます。この時間が結構長く感じます。

7.冠動脈CT(心臓CT)検査

拍が落ち着いたところで、ようやく検査になります。CTスキャン装置に横たわって、検査を開始します。最新の測定器の場合は、造影剤との同期のため心電図も装着します。

検査は前半と後半に分かれており、前半は通常の撮影、後半は造影剤の点滴の口からさらに造影剤を追加して検査します。私の場合、後半の検査に入る前に脈拍が上がってしまったため、短い時間だけ脈拍を下げる脈拍降下剤を飲みました。緊急処置的にお薬を使いますと言われたので、ちょっと心配になりましたが、特に体には影響はないようです。

無事脈拍が下がると、検査担当の人がニトログリセリン(硝酸薬)のスプレーを舌の下に噴射します。これにより血管が見やすくなるそうです。舌がちょっとぴりぴりします。造影剤を血管から注入します。最新の測定器では、体に付けた心電図と撮影が同期する仕組みになっているようです。注入する際、体が一瞬熱くなりますが、検査終了後にすぐ消えるので心配する必要はありません。

1回の撮影は10~20秒ほどで、合計でも15分ほどで終了します。

8.医師から結果の説明

医師から結果の説明を受けます。狭窄(血管が細くなっているところ)があるかないかが一番のポイントになります。私の場合は特に問題ありませんでしたが、石灰化(血管が硬くなっていること)を指摘されました。

石灰化は動脈硬化の前段階で、良くない症状だそうです。石灰化そのものが悪いというより、石灰化によって心臓に障害が出たとき問題になる、とのことです。血管が一度石灰化してしまうと今のところ元に戻す方法はなく、これ以上悪化するのを防ぐしかないそうです。ちょっとショックです。


まとめ

この冠動脈CT(心臓CT)検査は、一度やっておく価値はあります。自分の心臓の血管の状況がわかるからです。既に狭窄がある人は、チェックの意味で毎年受ける価値があるかと思います。

ただ、それ以外の人に取っては、毎年受ける価値はないのかな、とも感じました。特に石灰化に関しては、今のところ改善する方法がないようなので、毎年受けたからといって予防効果があるわけではないからです。

まず一度受けておいて、その後、心臓に具体的な症状が現れた時に再度受け直すのが現実的なのではないか、と思いました。