横浜高島屋ギャラリーの「モーリス・ユトリロ展」に行ってきました。
美術館でちょこちょこユトリロの作品は目にしますが、これほどユトリロの作品が大量に展示されている展覧会は初めてです。新潟市新津美術館が主導している美術展で、横浜の次は京都に巡回するようです。東京でよく行われる大規模美術展とは趣が異なり、作品は個人収集家の八木英司氏が集めた「八木ファインアートコレクション」と西山美術館からの出品がほとんどでした。(出品リスト)
展示は青年期から老年期へと順番に作品が並べてあって、さながらユトリロの回顧展という感じです。ユトリロというと、ちょっとダークな画風を思い浮かべますが、成熟期を過ぎると画風がライトになってたりして、今まで知らなかったユトリロの作品を見ることができます。
写真撮影は不可だったため、写真は紹介できないですが、いくつかのウェブサイトで展覧会が紹介されています。
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私が行った日は、新潟市新津美術館・館長の松沢寿重氏のギャラリートークがあって、たくさんのお客さんが来場していました。ユトリロの生涯やエピソードを含めて30分のギャラリートークでしたが、専門家の話を聞くと作品の理解が深まりますね。成熟期以降、画風がライトになったのは、ユトリロが有名になりすぎて注文がさばききれなくなってて時間をかけて画を描くことが難しくなったからではないか、と話されてました。そっちか・・・、などと思ったりして(笑)。他にもアルコール中毒時代の作品の方が出来がよかった(^^)、だとか、アルコールを飲んで暴れて周りから嫌われて、屋外での写生ができず、外で撮った写真を元にして家に籠もって描いていたらしい、など作品を見ただけではわからないエピソードが満載でした。
あと今回の展示会で気になったのは、恋に奔放な女性・ユトリロのお母さん「シュザンヌ・ヴァラドン」ですかね。展示室の入口にユトリロにまつわる人の相関図が図で示されているのですが、お母さんのシュザンヌ・ヴァラドンの恋愛関係がすごかったです。ルノワール、ロートレック、エリック・サティ・・・、大物ばかり。ルノワールの有名な作品「都会のダンス」でダンスを踊っているのは、若き日のこのシュザンヌ・ヴァラドンだそうです。写真を見ると確かに魅力的なので、さぞモテたんでしょうね・・・。ユトリロが酒に溺れてしまった理由がわかる気がしました。展覧会の図録(2200円)にユトリロの年譜が載っていますが、ユトリロの年譜と同じページに母・シュザンヌ・ヴァラドンの年譜も併記されていて、母の影響を感じざろうえませんでした。
ずらっと大量に並んでいるユトリロの作品はかなり壮観なので、ユトリロに興味がある方はぜひ見にいって欲しいです。