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坂本龍一 + 高谷史郎 TIME』 を新国立劇場 中劇場で見てきました

坂本龍一さん(以下、教授)が亡くなって一周忌ということで、色々な企画が立ち上がってますね

先日も教授のトリビュート展の投稿をしましたが、

坂本龍一トリビュート展 NTTインターコミュニケーションセンター

この『TIME』は、教授が最後に関わった作品ということで、ファンである私としては、行く以外の選択肢はありません

会場は新国立劇場・中劇場です。先日の教授のトリビュート展が開催されたICCのすぐ隣ですね
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会場内には教授のパネルがありました
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最後の作品なので、パンフレット(2000円)も購入しました
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上映時間は80分。1幕のみです
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TIME 坂本龍一 + 高谷史郎
会期 :2024/3/28(木) ~ 2024/4/14(日)
鑑賞日:2024/4/6(土)13:15 開場、14:00 開演、15:20終演
会場 :新国立劇場 中劇場

音楽 + コンセプト
 坂本龍一

ヴィジュアルデザイン + コンセプト
 高谷史郎

出演
 田中 泯
 宮田まゆみ
 石原 淋

終演後の写真。写真なんて撮影して良いのかな、としばらく様子を見ていましたが、みんなパシャパシャしはじめたので、私も

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ステージの近くで撮影した写真
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で、感想なのですが、絵画でいうと「抽象画」の世界ですね。明確なストーリーがあるわけもなく、時間(TIME)に関するモチーフがいくつか挿入されて、登場人物が舞台上で何か意味ありげな行動をしている、という作品でした。これを見て何を思うかは人それぞれでしょうね

朝日新聞(2024/4/4夕刊)の劇評に主人公(田中 泯)が福島第一原発の津波を連想させる、と書いてあって、なるほどなぁ、と思いました。直感的には私はちょっと違った感想を持ちました

このTIMEとは人の一生のことなんじゃないかと。特に教授本人ということではなく、私たち一人一人の人生。人は時間(TIME)をかけて色々取り組むけど、いつかは死んでいく。私たちが死んでも大地は変わらず、太陽は東から日が昇り、西へと沈み続ける。それは悲しいのか、せつないのかはよく分かりませんが、生というものを客観的に見つめているのではないか、と

この作品は教授と高谷史郎さんとの競作ですが、この2人の競作といえば、

Wikipedia: 『LIFE a ryuichi sakamoto opera 1999』

という作品があったことを長年のファンとしてよく覚えています。この公演、私も日本武道館に見に行きました。当時の私には内容が理解できなかったのをよく覚えています。山口県の山口情報芸術センターにも見に行こうかと思ったのですが、あまりのわからなさに、諦めた覚えがあります

当時の私の覚え書きに日本語の演目が書いてありました

イントロダクション
 序曲
第1部
 第1場:戦争と革命
 第2場:科学とテクノロジー
第2部
 第1場:生命の進化
 第2場:ガイアの歴史
第3部
 第1場:アート
 第2場:呼び交わし
 第3場:光

最後の「第3場:光」という曲が、この世から送り出される時に流されそうな曲でとても印象的でした。今考えると、この作品も人類の進化の過程をオペラにしたような作品で、今回の『TIME』とどこかで繋がっている気がしてなりません

私が教授のファンでなかったら、このような難解な作品を見に行くこともなかったでしょうし、人の一生について考えることもなかったでしょうから、やっぱり教授には感謝ですね

話は変わって、ちょっと前に行われた『坂本龍一のピアノ展』の件を少し。

X(旧twitter)の方にも投稿しましたが、

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これはヤマハ銀座店で行われた無料のイベントだったのですが、ピアノの自動演奏にしびれました。教授が自分で演奏した鍵盤の強弱やペダルのデータを保存していることは前々から知ってたし、ステージ上でも自分で演奏したデータと生演奏していたので、そういう風に使うものなんだろうな、とずっと思っていましたが、亡くなったあとに本人の演奏を再現するのに使う、ところまで理解していませんでした。

1階に展示されていたピアノは1時間に1回、戦場のメリークリスマスを演奏します。間近で見ることができて、結構迫力がありました。前述のオペラ『LIFE』の時に使われたピアノだそうです

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ピアノの横にはサイン入りツアーグッズがありました
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地下2階がメイン会場です。YAMAHAの過去のシンセサイザーがたくさん展示されていました
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会場の様子はこんな感じ
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こちらの会場では1時間毎に5曲の曲が自動演奏されていました

坂本龍一のピアノ展/Ryuichi Sakamoto and the Piano

会場の環境もあると思いますが、こちらの自動グランドピアノはとても音が良くて、まるで教授が弾いているかのようでした。本人は弾いてはいませんが、ある意味、生演奏なので、その場で音を奏でているリアルさが感じられたのかもしれません