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ルネこだいらの小林愛実さんのピアノリサイタルに行ってきました。

このピアノリサイタルは「1時間で本格クラシック」というシリーズの一環で行われている公演で、公演時間が通常の半分なんです。多くの場合は1時間の公演が1回で完結でしょうが、小林愛実さんの場合はなんと3つの公演が予定されています。3回の公演の第1回目が先月に行われる予定でしたが、出産後の体調の回復が遅れたため、今回が1回目(プログラムは第2夜)になります。出産後初のリサイタルということです。

小林愛実さんの公演は今まで、

小林愛実ピアノリサイタル 市原市市民会館大ホール 2022/2/23

読売日本交響楽団 原田慶太楼 指揮 小林愛実 ピアノ 2023/2/26

と2回見てまして、今回が3回目になります。理由はわからないんですが、私は小林愛実さんの演奏がどうも好きな気がしていて、今回の3つの公演でそれが本当かどうか確かめたいな、と思っております(笑)

小林愛実ピアノ・リサイタル 第2夜
2023/11/14(火)18:15 開場、19:00 開演、20:00終演
ルネこだいら 大ホール

小林愛実[ピアノ]

1. シューマン:アラベスク ハ長調 op.18
2. シューマン:「色とりどりの商品」より3つの小品 第1曲 op.99
3. シューベルト:即興曲集 D935 op.142

encore
 ショパン:ノクターン第20番「遺作」

この「1時間で本格クラシック」の小林愛実さんの公演は、通常のリサイタルで演奏される曲とは違うようです。

公演開始前に「当初予定していた1曲目と2曲目の曲順が変更になる」というアナウンスがありました。会場で配布される無料のパンフレットには逆の順番で書いてあったので、直前になって変更したんだと思います。

変更後の1曲目、シューマンのアラベスク ハ長調 op.18は私も以前の公演で聞いたことがあります。既にレパートリーになっている曲だと思うので、復帰後初で緊張をほぐすために、慣れた曲からはじめたかったのかな、と勝手に想像してしまいました。1曲目のアラベスクを弾き終わった後、一旦ステージを引っ込んで5分ぐらい出てきませんでした。まさかの体調不良?などと要らぬ心配をしてしまいましたが、2曲目以降、通常通り演奏されていたので安心しました。

2つ目のシューマンの曲と3つ目のシューベルトは、つかの間のブレイク(手を揉んでほぐしてたりしていた)を挟んで、連続で演奏していました。私はどちらの曲も知らないので感想は特にない(^^;)のですが、2つ目はおとなし目、3つ目(即興曲集なので実際は4曲ある)はかなり激しかったです。特に3つめの即興曲集は見ているだけでもピアノの技巧がかなり激しいことがよく分かり、「さすが、小林愛実!」と心の中で叫んでいました。

小林愛実さんの演奏を聴いていると、音の継ぎ目が全くなくて曲の世界観に没入している気分になるんですよね。今回のルネこだいら公演は「3夜セット券」というものがあり、3公演まとめて購入すると全て同じ席で鑑賞できます。私はピアノがよく見える位置をゲットしたので、小林愛実さんの演奏する姿をジーッと見ていたのですが、演奏中、空を見て弾いていている時間が長いなぁと思いました。もちろん鍵盤を見るべきときはちゃんと見ているのですが、あの空を見ている感じが音の継ぎ目のない印象と重なる気がしました。

あと近くで見ていて気づいたのは(今回の演奏に限ったことではないかもしれませんが)譜面は置かれていないんですね・・・。あの複雑な曲の全てを暗譜しているのかぁと、その記憶力にゾッとしました。ピアニストであれば当たり前なのかもしれませんが、素人の私から見るとまさに超人的。どうやって覚えるんだろう、音楽家ってすごいなぁ、改めて感じさせられました。

そして今回はアンコールの前になんとMCが・・・。マイクを使って話し始めました。今までのリサイタルではMCを聞いたことがなかったので驚きました。今日は出産後の初リサイタルで緊張した。シューベルトの即興曲集は初めてで、育児の合間に練習して大変だったが、無事演奏を終えられて良かった。今日は赤ちゃんと夫と3人で車で来た。かなり渋滞していて、家族旅行の気分になった。これからもこんな感じになるのかなぁ。などなど、話すこと、話すこと・・・。一見クールな印象ですが、実はお話しが好きな人なのかなと、かなりイメージが変わりました。ひととおり話した後、ではアンコールを1曲演奏します、と言った直後にパッと座って間髪入れず、ショパン:ノクターンを演奏してしまうという。すごい・・・。

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演奏終了後には(これも予想外の)サイン会がありました。サイン会はしないタイプと勝手に思っていたのですが、こちらも印象を覆されました。しかもひとりひとりと話そうとしているんですよね。サイン会は一般的に流れ作業的に進むことが多いと思うのですが、積極的に話そうとする姿勢が印象的でした。この雰囲気だと何か話さないかと気まずいかな、と思って「前回、所沢の公演見ました」と話しかけてみたところ、「読響?」と返してくれました。話し好きの人はこういうサイン会の時に気の利いた会話ができるんでしょうけど、慣れていないとなかなか難しいですね・・・。

サイン会そのものが久々だったので、どこにサインを書いてもらうかを考えるのをすっかり忘れていて、そのままCDの盤面にサインしてもらいました。スペースが狭いので、サインが窮屈そうですが、まぁこれはこれでいいかと。

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ステージ衣装もおしゃれでした。あと2回の公演も楽しみです。